スキマ製作所
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小規模酪農家の牛乳生産機器


 

小規模生産では製造の自動化は逆に非効率

今回の依頼者は、阿蘇山でのびのびと牛を育てる阿部牧場の経営者様。「このまま酪農だけに頼っていてはいけない」と、以前から美味しいと評判だった牧場の牛乳を自分たちで製品化することを決断されました。当初、自動化された生産ラインを導入して効率よく牛乳を生産したいと考えておられたのですが……

  • 自動の生産ラインは準備や後片付けも大変
  • 設備を置くための広い場所が必要
  • 設備投資の費用が非常に高額


などの問題にぶつかりました。
ある程度の生産量がなければ、自動の生産ラインは作業効率・スペース・費用すべての面においてメリットがないとわかったのです。
 

3つの「手動」機器が誕生

弊社がご相談をいただいてから約2ヵ月、完成した機器は次の3つ。
牛乳瓶を洗う→牛乳を詰める→蓋をする、という工程を、あえて手動の機器で行うことにより効率アップ・省スペース・低コストと問題点をすべてクリアすることができました。
 

牛乳瓶洗浄機

牛乳瓶を手動でセットし、ボタンを押してスタート。柔らかくて張りがあるブラシで牛乳の頑固なタンパク質汚れをかき出し、手で洗うよりも何倍も高速に洗う事が可能です。もちろん、阿部牧場で使用している瓶のサイズに合わせたサイズで作られています。

 

牛乳充填機

洗浄の済んだ牛乳瓶をセットし、足元のスイッチを軽く踏むと、ちょうど瓶1本分の量が出てくるようになっています。
両手が使えるので作業は非常にスムーズ。土台にはスペーサーがあり、瓶の高さに合わせて充填ポイントを調節することで、ハネやこぼれがなく確実に牛乳を重点することができます。

 

打栓器

牛乳蓋をセットして操作レバーを下げると、牛乳瓶に紙製のフタが打ち込まれます。
ガラス瓶に紙の蓋で栓をするには絶妙な力加減が必要。強すぎては瓶が割れたり、蓋が中に入ってしまったり。逆に弱すぎては運搬中に牛乳が漏れてしまいます。何度も調整を繰り返し、ちょうどいい力加減を実現しました。
 

機器を設置し、従業員の方々に試験操作をお願いしたところ「操作が簡単で使いやすい」「準備や後片付けもラク」と高評価。
こうして、阿部牧場では美味しくて新鮮な牛乳を効率よく自社製造できるようになりました。

 

三つ星獲得、世界が認めた阿部牧場のASO MILK

その後、阿部牧場の牛乳「ASO MILK」は、絞り立ての牛乳だけが持つ甘さやコク、濃厚なのにさっぱりした味わいが大変評判を呼び、食品のミシュランガイドと呼ばれる「国際味覚機構」で最高栄誉の三つ星を受賞したのです。阿部牧場からの嬉しい知らせに、弊社一同も製造機器を制作できたことを誇らしく思います。