スキマ製作所
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産学官共同開発のアマモ植栽機


 

アマモとは?

アマモとは、水深の浅い沿岸に自生する海草の名前。「アマモ場」と呼ばれる群生は、潮の流れを和らげ、窒素やリンを吸収し、水をキレイにする役割があります。魚の産卵場所になり、生まれた稚魚や小さな動物の隠れ場所となって海を豊かにします。
このように、生態系の維持に非常に重要な役割を果たしているのですが、沿岸の埋め立てや環境破壊によってアマモは年々その数を減らしています。
このアマモの研究を行っている熊本県立大学が、研究のためアマモの苗を海底に植える「アマモ植栽機」を産学官共同で開発することになりました。



 

ご要望と課題

  • 水中に潜らず、船上から植えられるようにしたい
  • 誰でも簡単に操作できるような器具がいい

 
通常、アマモを植えるにはダイバーを雇います。東京から専門のダイバーを呼ぶのでコストがかかり、その費用を削減できるよう水中に入ることなくアマモを植えられる器具がいいとのこと。また、簡単な操作で誰でもアマモの苗を植えられるようにしてほしい、というご要望でした。
 

そして、できあがった器具は…

数十回にわたる試作と改良を繰り返し、でき上がるまで4ヶ月。
アマモをセットした先端を海底の砂に突き刺し、ハンドルを左右に開くだけで簡単に植えられる器具が出来上がりました。

 

使い方は、こんなに簡単

  1. 苗のポットをセット
  2. 海底に先端を突きさす
  3. バーを閉じる

➀器具の先端にアマモを苗ポットのままセットします。
器具先端のポケット状の部分に、アマモを苗ポットのまま入れます。



 
➁海底に器具の先端を突き刺します
長い柄の先端(グリップ)を握り、海へ器具を降ろして、一気に海底に突き刺します。



 
➂バーを内側へと閉じます。
突き刺したままの状態で手元のバーを中心に向かって閉じると器具の先端が開き、海底にアマモが植え込まれます。これで苗の植え込み完了です。



 

海底でのアマモ植栽機の動作

 

 

ご要望により、苗だけを植え込むバージョンを追加

「苗だけを植えるのも欲しいなぁ」。
そんな教授のご希望で、急遽別バージョンを作成。
苗を直接器具でつまみ、そのまま海底に植え付けるので、先端の形状を変更しました。
それに伴い、手元の操作部分も滑車とワイヤーで操作するタイプに変更しました。


 
➀苗を直接つまみ、海底に刺します
アマモの苗はとても小さく柔らかいので、優しい力でつまめるように何度も調整を行いました。先端が細いので、スムーズに海底に突き刺すことができます。


➁ハンドル操作で、苗を離します
滑車に付いたハンドルを下に引くと、先端が解放されて器具から苗が離れます。
苗は軽いので、離したままだと簡単に浮き上がってきます。
そこで、離すと同時にストッパーが飛び出して植えた苗を押さえる仕組みにしました。



➂これで植え込み完了
植え込まれたアマモの苗です。
傷つくことなく無事に植え込みが完了しました。アマモはこれから成長し、海水を浄化したり小魚の隠れ家となって環境を守ります。


 

「アマモ植栽機」開発プロジェクトは、元熊本県立大学環境共生学部教授・東京大学名誉教授の農学博士 大和田紘一氏指導のもと、熊本県水俣・芦北地域振興財団の出資により実現しました。